水分補給はなぜ必要?運動時じゃなくても起きる「かくれ脱水」とは

水分補給はなぜ必要?運動時じゃなくても起きる「かくれ脱水」とは

・水分補給
・運動時の水分補給
・かくれ脱水
・脱水症状

「かくれ脱水」という言葉をご存知ですか?意識しないうちに水分不足になり、体にちょっとした不調がでてくる症状です。暑い日や運動時に汗をかいて起こる「脱水症状」と同じくらい気をつけたい脱水として話題になっています。季節問わず起こる日常の「かくれ脱水」とあわせて、汗をかく運動中に気をつけたい「脱水症状」について、予防する方法や適した飲み物を紹介します。

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人の体の約60%は水分でできている

人の体の約60%は水分でできている

「水」が足りなくなると血液・体液に影響
水分補給が大切なのは人体の仕組みにあります。人間の体の約60%は水分でできており、体内の水分が血液や体液などを内臓から脳まで体中に送っているからです。

体内の水分が少し減った程度では「喉の渇き」として感じられる程度ですが、さらに減ると電解質にも影響が出て、足がつったり痺れたりします。「脱水症状」まで進行すると、内臓や脳への血液が不足し、血圧が下がったり意識が朦朧としたりなど危篤な状況となります。「水」は体全体を機能させている大事な要素なのです。

汗をかいていなくても水分は失われる
運動をしていない時や冬の時期でも、汗をかいていなくても体から水分は失われていくので注意が必要です。皮膚からの自然発汗や呼吸からの蒸発、排尿、入浴時などで1日に約2.5Lの水分が失われます。運動をしているときや夏は水分補給を意識しやすいのですが、それ以外の時は忘れがちな傾向にあります。日常生活で1日2Lなんて飲んでない…と思う人も多いのではないでしょうか。

水分不足の日常が続き、気づかないうちに脱水症状が進行している状態を「かくれ脱水」といいます。体内の水分量が減る30代以上から要注意の「かくれ脱水」について紹介します。

あなたは大丈夫? 「かくれ脱水」とその症状

あなたは大丈夫? 「かくれ脱水」とその症状

かくれ脱水とは
「かくれ脱水」とは、慢性的に水分補給をしないために気づかないうちに水分不足が進み、体にちょっとした不調をきたしている状態のことです。脱水症の一歩手前になっていることもあります。

喉の渇きに鈍感になっている人や、忙しかったり生活習慣的に水分をとる機会を逃してしまう人に起こりがちです。水分量が減少する成人以上に注意が必要とされていますが、喉の渇きを見逃してしまう子どもや、食事制限をしている若い世代にも起こるリスクがあります。忙しくて朝食を抜いたときや、お酒を飲み過ぎたときにも「かくれ脱水」になりやすいです。

かくれ脱水の症状
「かくれ脱水」の症状としては以下のようなものがあります。

  • 体重が短期間で減っている
  • 尿の色が濃くなっている
  • 風邪などの病気ではないのに37℃前後の微熱がある
  • 口の中が粘つく。つばが少なくつばを飲み込めないことがある
  • 便秘になることが増えた
  • 手や足がつったり痺れたりすることが増えた

「かくれ脱水」にならないために

「かくれ脱水」にならないために

1.こまめに水分を補給する
「かくれ脱水」は慢性的に水分補給をしていない時になるため、とにかく水分を撮ることが大事です。
外出時には水筒を持っていく、在宅時にはテーブルの上にピッチャーや水筒を置いておくなど、目に入るところに水を置いておきましょう。暑くない秋冬はコップ一杯程度になってしまいがちですが、乾燥しているため少し多めに飲むことを意識した方が◎。1日で水筒の水を2回飲む、など自分の水分補給量を意識できると続けやすいですね。

2. カフェインや糖分のない「水やお茶」がおすすめ
日常の水分補給には、十分に飲んでも塩分や糖分を気にする必要のない「水」や「お茶」を選びましょう。水道水やミネラルウォーター、麦茶やルイボスティー、とうもろこし茶などはカフェインを含んでいないので、水分補給にぴったりです。

カフェインが多く含まれる飲み物(コーヒーや紅茶、緑茶など)は、利尿作用もあるため飲み過ぎには注意しましょう。アルコール類は、利尿作用に加えてアルコールを分解するために脱水症状を引き起こしやすいです。アルコールは「水分補給」にはならないので注意しましょう。

3.入浴後などは一杯のスポーツドリンクも
スポーツドリンクなどの糖分が入っている飲料は、「日常の水分補給」では糖分の摂り過ぎになってしまいますが、入浴後など汗をかいた後にコップ一杯程度であれば糖分も問題ありません。汗と一緒に流れたミネラルや電解質も効率よく吸収することができます。

日頃の水分補給とは違う「運動時」に適した飲み物

日頃の水分補給とは違う「運動時」に適した飲み物

1.運動時はスポーツドリンクがおすすめ
日頃の水分補給とは別に、運動時に適した飲み物があります。
当日の気温や運動量によって異なりますが、汗をかくほどの運動を1時間すると約1Lの汗をかくと言われています。水の中にいるので忘れがちですが、スイミングやアクアエクササイズなどの水中での運動もスタジオレッスンと同様に汗をかきます。

汗を大量にかいてミネラルや電解質を失ってしまう運動時には、「イオン飲料」や「スポーツドリンク」がおすすめです。かくれ脱水と異なり、一気に脱水した場合は水分と電解質も一緒に失われます。通常の水では電解質は補給できませんが、スポーツドリンクなどには入っています。また、スポーツドリンクは浸透圧を体に近くしているため、運動時の水分・エネルギー補給にも最適です。
自販機やコンビニなどで飲み物を購入するとキンキンに冷えていることが多いですが、冷たい飲み物は深部体温を下げるので、常温に少し慣らしてからがおすすめです。

2. 運動時の水分補給のタイミング
運動時の水分補給は「運動後」にしていませんか?実はそれでは少し遅いのです。
体を動かし熱と汗が出てきたタイミングで、すでに脱水は始まっています。またミネラルや糖分も消費されるので、疲れやすくなり運動のパフォーマンスも下がってしまいます。どちらも回避するためには、「運動前」と「運動中」の水分補給が大事。それぞれのポイントを紹介します。

3.運動前の水分補給

3.運動前の水分補給

運動前には、発汗で体の水分を失うことや、体温が上がりすぎるのを防ぐために水分を摂ります。運動前に摂ることで、運動中の脱水回避だけでなくパフォーマンスをあげることもできます。スポーツドリンクではなく「水」がおすすめです。
直前に水分を摂りすぎると胃が重くなって運動の負担となるため、運動をする30分前をめどに250ml程度の水を2回に分けて飲みましょう。

4.運動中の水分補給
運動中の水分補給には、発汗により失われた水分や電解質を速やかに補給する目的があります。スポーツドリンクがおすすめです。
「喉が渇いたタイミングで水を飲めばいい」と思いがちですが、喉が渇いたときにはすでに軽い脱水状態になっていると言われています。アメリカのアーカンソー大学水分補給科学研究所の発表では、「喉の渇きを感じてから水分補給をする」場合は運動中に脱水状態に陥りやすく、熱中症のリスクやパフォーマンスの低下につながると提唱されています。思わぬアクシデントを防ぐためにも、喉が渇く前に水分補給をしましょう。

5.運動後の水分補給
運動後は、失われた水分を補給し、コンディションを整えるために水分を摂りましょう。汗を大量にかいていればスポーツドリンクに、少量であれば糖分・塩分を摂り過ぎないよう水が良いでしょう。

脱水を防ぐためにも、運動後1時間以内に補給するよう意識してください。摂る水分の量は運動前と運動後に体重を測って体重の差が2%以内に収まっていれば、運動中に水分補給が適切に行われていたという事になります。2%よりも大きい場合は足りない分を摂ります。
例えば、体重50kgの2%は1kgです。運動後に1kg減っていたらちょうど2%なので大丈夫。1.5kg減っていたら0.5Lほど水分を摂るようにしましょう。

汗をかくときも、かかないときも。しっかり水分補給をして「かくれ脱水」を防ごう

日常的な水分不足による「かくれ脱水」と、運動でたくさん汗をかいたときの「脱水」。1日で失われる水分が意外と多く、摂ったほうがよい水分量を飲めていないのではと思った方も多いのではないでしょうか。

かくれ脱水は、微熱が続く、足がつるなど慢性的な不調になりやすくQOLを下げてしまいます。季節問わず、むしろ秋冬にこそなりやすい症状ですが、水分補給を意識することでぐっと改善します。自分だけでなく親や子どもなどの家族にも声をかけていきたいですね。
運動時の脱水は、汗をかく運動前の水分を補給することがポイントです。こちらも秋冬は忘れがちなので、水筒やペットボトルを持っていくなどで思い出すようにしましょう。

人間の体の60%は水分。体の中にいつもきれいな水分を満たしておくイメージで日頃から水分補給しておきたいですね。

 

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