白湯(さゆ・はくゆ)とは?
白湯とは、水を沸かしただけの何も入れていない純粋な湯のこと。水道水などの場合は、5分ほど沸騰させて不純物を取り除いた湯の状態を指します。
体温より温かい40〜50℃の温度の湯を飲むことで、体を内側から温めます。
起源は「インドの健康医学」
白湯はもともとインドの健康医学「アーユルヴェーダ」に由来します。アーユルヴェーダでは、「ピッタ(火)」「ヴァータ(風)」「カパ(水)」の3要素からなる生命エネルギーのバランスが取れている状態を理想とします。白湯は3要素を全て持つためどのような体質の方にも合い、足りない要素を補ってエネルギーのバランスを整えてくれると考えられています。
少し前から、日本でも手軽に実践できる健康の習慣として白湯を取り入れる人が増えてきました。
常温の水やお湯との違い
常温の水やお湯との違いは、体温に近いかどうかです。常温の水は15~25℃程度で、体温より温度が低いです。一方、沸かしたてのお湯は100℃ほどで体温よりかなり高く、熱すぎてそのまま飲めません。白湯は40〜50℃程度なので体温に近く、適度に体を温めてくれるため体に良いといえます。
白湯は効果ない?
白湯に効果があるかないかは、求めている効果によっても変わってきます。しかし、朝の眠気を飛ばしたり基礎代謝を上げたりと、体にさまざまな良い影響をもたらすと考えられています。詳しい効果については次章で解説します。
白湯を毎日飲むとどんな効果がある?
体に良さそうという印象のある白湯ですが、具体的な健康面での効果はご存知でしょうか。白湯を毎日飲むことの代表的な効果と、それぞれの効果が表れる理由についても詳しく見ていきましょう。
・眠気を飛ばして爽快な朝を実現
・基礎代謝の向上
・デトックス効果
・肩こりや腰痛の緩和
・美肌効果
眠気を飛ばして爽快な朝を実現
寒い季節はとくに、起きるのがつらいですよね。起きても頭がさえず、ぼーっとしてしまう方は多いでしょう。寒い季節になかなか起きられない理由として、深部体温(外気温の影響をあまり受けない、脳や臓器などの体温)が関係すると考えられています。冷え切った体を白湯で温めることで、体の内側から眠気を飛ばすことができます。
基礎代謝の向上
内臓の温度が1℃上がると、基礎代謝量は10〜13%ほどアップするといわれています。基礎代謝とは、生命を維持するための必要最低限のエネルギー代謝のこと。白湯を取り入れて体温が上がると、基礎代謝量が増えて太りにくい体になるでしょう。
デトックス効果
白湯を飲むと腸が温まります。内臓は温まると活性化するといわれており、腸の動きが良くなると頑固な便秘を解消できる可能性も。
さらに腸だけでなく胃も温まるため、体全体を温められるといえます。体が内側から温まることで血液やリンパの流れも活性化。老廃物の排出やむくみの改善にも役立ちます。立ちっぱなしや座りっぱなしで脚がむくみがちな人は試してみてください。
肩こりや腰痛の緩和
白湯により体が温まると全身の血の巡りが良くなるため、血行不良で起こる肩こりや腰痛の改善にも効果が見込めます。普段から運動不足で体が凝っているのを実感している人は、休憩時間などに白湯を取り入れてみてはいかがでしょうか。
なお、仕事の合間にコーヒーをよく飲む方も多いと思いますが、コーヒーはホットでも体を冷やす作用があるので、飲みすぎには注意が必要です。
美肌効果
白湯を飲み、腸に溜まった有害物質や老廃物が排出されることで、腸内環境が改善されると考えられています。
腸の状態が良好だと、古い角質が剥がれて新しい肌へと生まれ変わる“ターンオーバー”のリズムも整うといわれているため、キメの整った肌になることも期待できるでしょう。
また、顔の血行が良くなることで頬や唇の血色が良くなり、生き生きとした健康的な印象になります。
白湯の簡単な作り方
白湯にはうれしい健康効果があります。水を沸かすだけでできるので作るのも簡単ですが、使用する水によって理想的な作り方は異なります。
水道水で作る場合は、残留塩素を除去するため5分以上沸騰させる必要があります。ペットボトルのミネラルウォーターや浄水を使用する場合は、50℃程度に温めるだけでOKです。
温めるだけの「簡単な白湯の作り方」と、沸騰させる場合の「やかんを使った白湯の作り方」を紹介します。
- ①精製水の場合...電気ケトルを使った白湯の作り方
- ②精製水の場合...電子レンジを使った白湯の作り方
- ③水道水の場合...やかんを使った白湯の作り方
①精製水の場合...電気ケトルを使った白湯の作り方
市販の水や浄水などの精製水なら、電気ケトルに水を入れて温めるだけで簡単に白湯を作ることができます。温度を設定できるタイプであれば、50度に設定すれば飲み頃の白湯の出来上がり。
冷まして飲むときは、コップを手に持ってじんわり温かいなと思う温度を目安にしましょう。40〜50℃が理想的です。
②精製水の場合...電子レンジを使った白湯の作り方
電子レンジでも白湯を作れます。コップ1杯(150〜200ml)の精製水を電子レンジに入れたら、600Wなら1分30秒、500Wなら2分程温めましょう。電子レンジでもかなり熱くなるので、40〜50℃くらいに冷めるまで待ってから飲みましょう。
③水道水の場合...やかんを使った白湯の作り方
水道水を使う場合は、水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンなどの有害物質を取り除くために5分以上の沸騰が必要です。
蓋付きのやかんに水道水を入れ、強火にかけます。沸騰したら蓋を取り、ボコボコと水面が泡立った状態でさらに5分程沸騰させて不純物を取り除きます。飲むときは40〜50℃くらいに冷ましましょう。
この水を沸騰させるやり方は、アーユルヴェーダでは水に火と風(気泡)の要素が加わり、体のエネルギーのバランスを整える飲み物になるといわれる方法でもあります。
白湯の適切な飲み方は?
準備も簡単でうれしい効果が期待できるとなると「今日からいっぱい飲もう!」と張り切りたくなりますが、どのくらい飲んだらいいのでしょうか。飲む量や飲むタイミングなど、効果をより得られる"白湯の飲み方"のポイントを3つ紹介します。
・一度に飲む白湯の量
・白湯を飲むタイミング
・アレンジを加えるのもおすすめ
一度に飲む量の目安は、150ml〜200ml程度
白湯が体に良いならいっぱい飲んだほうがいいのかなと思いがちですが、結論からいうと、一度に大量に摂取することはおすすめできません。
大量の水分補給は体内のミネラルバランスを崩したり、むくみの原因になったりします。食事前や食事中に大量に飲むのも、胃酸が薄まり消化に悪影響です。
一度に飲む量の目安としてはコップ1杯程度(150ml〜200ml)が好ましいでしょう。
おすすめのタイミングは、3回
白湯はいつ飲んでも良いものですが、一日の中でおすすめのタイミングは「朝起きたとき、食間、寝る前」の3回です。
1. 朝起きたとき
一番おすすめなタイミングは、朝起きたとき。人間は寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくといわれており、起床時は水分不足です。また、体温も十分に上がっていないため、白湯で体を温めると内臓や血行が良くなり体の活性化が期待できます。白湯により体が目覚め、便通などの改善も見込めるでしょう。
2. 食間
食間が良い理由は、食事中に白湯で内臓を温めることで、胃腸が活発に動くようになり消化によいと考えられるため。ただ、飲みすぎは胃液が薄まり逆に消化不良になってしまうのでコップ一杯程度にしましょう。食後30分の間も、消化した栄養の吸収を妨げてしまう恐れがあるので、控えたほうがいいといわれています。
3. 寝る前
寝る前の白湯には"リラックス効果"もあります。体の内側から温まると副交感神経が優位になり、リラックスモードに。心の緊張が解けて、心地良い眠りにつくことができるでしょう。
寝る直前に飲むとトイレに起きることになりそうな人は、寝る30分前までなどの時間調整をするとよさそうです。
アレンジを加えるのもおすすめ
白湯は味がないので、飲み飽きてしまうこともあるかもしれません。そのようなときは、アレンジを加えるのもおすすめです。ベースが水なので、基本的に何でも合います。
例えば、ハチミツなど糖分を含んだ食材を入れると、脳に栄養が行き渡りすっきりした目覚めに一役買ってくれます。アレンジの例を以下にいくつか紹介します。
● 白湯+ハチミツ梅
● 白湯+ショウガ
● 白湯+レモン
● 白湯+果実酢
● 白湯+ミント
自分好みのアレンジを見つけて、楽しく白湯を続けましょう。
白湯を飲む際の注意点・デメリット
白湯を飲むことにはさまざまなメリットがあります。メリットを十分に引き出すためには、いくつか注意しておきたいポイントも。ここでは、白湯を飲む際の注意点や白湯のデメリットについて解説します。
朝は1杯までと決める(飲みすぎ注意)
白湯には老廃物を除去してくれるうれしい効果がある反面、飲みすぎると体内のイオン物質のバランスを崩したり、むくみを引き起こしたりする可能性もあります。
また、水分過多や腸が活発に働きすぎることにより「下痢」を起こすというデメリットも。寒い日などはついつい体が温まるものを飲みすぎてしまうこともありますが、朝は1杯までにしましょう。「無理して飲んでいるな...」と思う量は飲みすぎかもしれません。
冷めたら再度加熱する
白湯を40〜50℃に冷やす際、冷やしすぎて冷たい水にならないように注意しましょう。体温より冷たい水は体を冷やしてしまいます。水道水は煮沸するので冷やす必要がありますが、一度煮沸したら不純物は無くなるので、その後温める場合はレンジでも電子ケトルでもOKです。
面倒でも水道水は煮沸する
前述した通りですが、水道水の場合は5分以上煮沸するようにしましょう。体の調子を良くする「白湯」として飲むのであれば、効果を最大限に感じられるとうれしいですね。
やかんいっぱいの水を煮沸して準備すれば、1日分の白湯になります。煮沸後のお湯をピッチャーなどに入れておき、レンジで温めながら飲むようにすれば、1日に飲む量の目安にもなりますね。
白湯に関するよくある質問
白湯について、「ダイエットに効果がある?」「効果はいつから出る?」などの疑問を感じている方はいるでしょう。ここでは、白湯に関するよくある疑問に回答します。
Q.白湯はダイエットにも効果あり?
A.白湯は間接的にダイエットをサポートしてくれます。
まず、白湯を飲むことで目覚めが良くなり、規則的な生活を送りやすくなります。睡眠不足が続いていると高カロリーなものが食べたくなるといわれているため、ダイエット成功のためには規則正しい生活が大切なのです。
また、白湯を飲むことで起床後や食後の食欲を多少抑えられるため、食べ過ぎを防げます。
Q.「白湯が体に良い」というのは嘘?
A.「白湯が体に良い」というのが嘘になるかどうかは、「体に良い」の定義によるでしょう。この記事では、白湯にさまざまな効果があることを紹介してきました。それを踏まえれば、「白湯が体に良い」は本当ということになります。
しかし、白湯を飲むだけで健康になったり病気が良くなったりするわけではないため、「白湯が体に良い」は嘘ともいえます。また、白湯を大量に飲みすぎると体内の水分バランスが乱れる危険もあります。
メリットとデメリットを理解し、適切な飲み方で取り入れることが大切です。
Q.白湯の効果はいつから出る?
A.体内の変化には個人差があり、一概に「これくらいで効果が出る」とは言えません。しかし、白湯を継続して飲み続けることで、1ヶ月前後で効果を実感できる可能性があります。
また、「朝すっきり目覚める」「規則正しい生活」など自分の意思で変えられることであれば、2週間ほどで変化を実感できるでしょう。
白湯の効果を上げる作り方・飲み方で、冬も体を温めよう
今まで白湯を飲んだことがなかった人も、精製水なら温めるだけでOK、1日3回で効果があるなど「自分でもできそう」と思えたのではないでしょうか。
白湯を続けていくと、朝に白湯を飲まないと体が起きない気がするなどの"気持ちいい習慣"になる人もいるようです。特に寒くなってくる秋冬の季節は、白湯を始めるのにピッタリ。冬は体が冷えがちですが、白湯で体を内臓から温め、血行も調子もよい体にしていきましょう。