キャニオニングとは
キャニオニングは、渓谷をフィールドに、上流から下流へと川の流れに沿って下っていくアウトドアアクティビティです。岩場を滑り降りる天然のウォータースライダーや、滝つぼへのジャンプなど、自然の地形を活かしたダイナミックな体験が魅力です。
専用のロープやハーネスを使ったターザンロープやジップラインなど、スリルを味わえる仕掛けも豊富に用意されています。全身を使って大自然を満喫できることから、「究極の川遊び」と呼ばれることもあります。
多くのツアーは小学生以上が対象で、初心者でも安心して参加できるコースが充実しており、年齢や経験を問わず誰でも気軽にチャレンジできます。
キャニオニングが歩んできた歴史
キャニオニングは、1870年代のヨーロッパで、地形の探査や鍾乳洞の調査を目的として始まったとされるアクティビティです。やがてレジャー要素を含む冒険型のアウトドアスポーツへと発展し、欧米各国へ広がっていきました。
日本では、群馬県みなかみ町に拠点を置く「キャニオンズ(CANYONS)」が、初めてキャニオニングツアーを企画したと言われています。
2000年頃からはテレビや雑誌などのメディアに取り上げられる機会が増え、アクティビティとしての知名度が一気に拡大。現在では、全国各地に体験スポットが点在し、初心者から上級者まで多くの人に親しまれています。
キャニオニングと各種アクティビティの違い
渓流を利用したアウトドアスポーツには、キャニオニングのほかにもいくつかの種類があります。代表的なものとして、以下の2つが挙げられます。
● ラフティング
● シャワークライミング
それぞれの特徴を比較しながら見ていきましょう。
ラフティング
ラフティングは、ゴムボートに複数人で乗り込み、川を下っていくアウトドアアクティビティです。急流や穏やかな流れを、仲間と声をかけ合いながら進むため、チームワークや協調性が重要になります。
ガイドやベテランの参加者が同乗していれば、ボートの操作をリードしてくれるため、初めての人でも安心して挑戦できます。
川を下りながら、美しい渓谷の風景を楽しめるのもラフティングの魅力のひとつです。
シャワークライミング
シャワークライミングは、渓谷や滝を下るキャニオニングとは異なり、水の流れに逆らって「登っていく」タイプのアクティビティです。滝や急流をさかのぼるため、全身の筋力やバランス感覚が求められ、体力も必要になります。
ロッククライミングの要素やロープワークが含まれることも多く、登山やクライミングの経験がある人からも人気を集めています。初心者にはやや難易度が高めですが、挑戦を重ねるうちに自然との一体感や、登りきったときの達成感を味わえるようになります。
キャニオニングを楽しむために必要なこと
キャニオニングを快適かつ安全に楽しむには、事前の準備が重要です。水中で行うアクティビティのため、濡れることを前提に服装や持ち物を整えておく必要があります。
特に押さえておきたいのが、以下の2点です。
● 準備すべき持ち物
● 当日の服装
それぞれについて具体的に見ていきましょう。
準備すべき持ち物
キャニオニングでは、全身が濡れることを前提に、以下のような持ち物を用意しておくと安心です。
<基本の持ち物>
●水着(フィット感のあるもの)
ウェットスーツの下に着用します。動きやすく、ズレにくいタイプがおすすめです。
●バスタオル・小さめのタオル
大きなものはシャワー後に使用。小さめのタオルは道具や手足を拭く際に便利です。
●着替え一式・替えの下着・靴下
全身が濡れるため、乾いた服への着替えは必須です。
●メガネバンド、またはコンタクトレンズの予備
メガネの落下防止や、コンタクトの紛失に備えておきましょう。
●ゴーグル(競泳用など小型のもの)
視界の確保や水しぶき対策に役立ちます。
<あると安心な持ち物>
●ウォータープルーフの日焼け止め
水に濡れても落ちにくいタイプを選びましょう。
●薬・健康保険証
持病のある人や、万が一のケガに備えて携帯しておきましょう。
●防水バッグやビニール袋
濡れた衣類や小物を持ち帰るのに便利です。
●メイク道具・ヘアゴム
女性の場合、化粧直しや髪をまとめるためにあると安心です。
当日の服装
キャニオニング当日は、基本的にツアー会社から貸し出される装備を着用します。以下のような装備が一般的です。
<レンタル装備の一例>
● ウェットスーツ
● スライダーパンツ
● ライフジャケット
● ヘルメット
● ハーネス
● グローブ
● キャニオニングシューズまたはウェットブーツ
これらの装備は事前に案内されることが多いですが、ツアー会社によって異なる場合もあるため、申し込み時に必ず確認しておきましょう。
加えて、以下のような準備をしておくと、より快適に体験できます。
<参加前に準備しておきたい服装や身だしなみ>
● 水着または濡れてもよいインナー
ウェットスーツの下に着用するため、乾きやすく動きやすい素材が適しています。
● 濡れても快適なソックス(五本指タイプなど)
靴ずれや蒸れの防止に役立ちます。
● 髪型はヘルメットを被りやすいよう低めにまとめる
邪魔にならず安全性も確保できます。
● 爪は短く整えておく
岩場などでの引っかかりやケガを防ぎます。
なお、自前のウェットスーツを持っている人もいるかもしれませんが、激しい動きによる破損のリスクがあるため、レンタル品の使用をおすすめします。
キャニオニングの2つのメリット
キャニオニングには、主に次のようなメリットがあります。
● 楽しみながら全身を使った運動ができる
● 自然との触れ合いによるリラックス効果
渓流という特別なフィールドだからこそ得られる、身体と心への良い刺激をそれぞれ見ていきましょう。
楽しみながら全身を使った運動ができる
キャニオニングは、渓流を歩く、泳ぐ、滑るといった多彩な動きを通じて、全身の筋肉をバランスよく使えるアクティビティです。滝つぼへのジャンプや岩場のスライディングなど、ダイナミックな動きが含まれているため、特に脚力や体幹の運動につながります。
さらに、ロープを使った懸垂下降やトレッキングの要素、渓谷を下る際の泳ぐ動作も含まれており、バランス感覚や持久力が必要な場面も豊富です。
自然の地形を活かした動きの中で、楽しみながら全身を鍛えられるのが、キャニオニングの大きな魅力といえます。
自然との触れ合いによるリラックス効果
キャニオニングは、自然の中で五感を使いながらリフレッシュできるアクティビティです。太陽の光や清流の音、滝のしぶきに包まれることで、日常の疲れやストレスがすっと和らぎます。川を下る途中に出会う透明な滝つぼや苔むした岩、美しい渓谷の景観は、自然の奥深さや静けさを実感させてくれるでしょう。
都会では味わえない自然との一体感が得られ、達成感や心の充足感にもつながるのが、キャニオニングの魅力のひとつです。
こうした自然とのふれあいによる癒し効果は、森林浴にも通じると言われています。興味がある人は、以下の関連記事も参考にしてみてください。
キャニオニングに関するよくある質問
Q.初心者でも参加できるの?
A.キャニオニングは初心者でも参加しやすいアクティビティです。ガイドが事前に装備の使い方やコースの説明を行い、当日も安全に配慮しながら案内してくれるため、初めての人でも安心です。特に半日コースは体力的な負担も少なく、運動に自信がない人でも無理なく楽しめます。
参加前には、ツアーの詳細や対象レベルを事前に確認しておくと安心ですよ。
Q.泳げなくても参加できる?
A.キャニオニングではライフジャケットを着用するため、泳げない人でも安心して参加できます。深い場所は少なく、流れが穏やかなコースも多く用意されています。
また、滝つぼへのジャンプなどのアクティビティは任意で行うことが多く、無理に挑戦する必要はありません。自分のペースで楽しみましょう。
Q.雨の日でもキャニオニングは開催される?
A.小雨程度であれば、多くのツアーが通常どおり実施されます。ただし、大雨による増水や危険が想定される場合は、安全を最優先に中止となることがあります。
その際は、全額返金や別日程への振替に対応しているツアー会社がほとんどです。天候による判断は直前になることもあるため、参加前に最新情報を確認しましょう。
キャニオニングで自然を全身で味わおう
キャニオニングは、渓流を滑ったり滝つぼに飛び込んだりしながら、自然を体いっぱいに感じられるアクティビティです。全身を使って楽しめるだけでなく、日常では味わえないリフレッシュ効果も魅力のひとつ。
初心者向けのコースやレンタル装備も充実しているため、初めてでも安心して参加できます。自然の中で思いきり体を動かしたい人は、ぜひ一度チャレンジしてみましょう。