股関節の役割とは
股関節は脚と骨盤をつないでいる関節で、位置は太ももの付け根にあります。歩いたり走ったりといった足を動かすときにも使いますが、立っているときにも上体を支える重要な役目をしています。
股関節の周辺にある筋肉が股関節を支えていますが、この股関節周りの動きが硬くなったり弱ったりすると、股関節にも悪影響が出てきます。股関節を大きく動かせなくなったり、軟骨部分が摩耗したりして、歩く・立つといった日常生活に支障をきたすことも。股関節を正しく機能させるには、股関節周りの筋肉をほぐしてあげる必要があります。
股関節を柔らかくする効果・メリット
股関節周りの筋肉をストレッチすることで得られる効果は以下のようなものがあります。
①歩きやすくなる
②姿勢が良くなる
③血流が良くなる
④疲れにくくなる
①歩きやすくなる
股関節周りの筋肉が硬くなってくると、足を前後に動かしにくくなるため歩幅が狭くなりがちです。小股での歩行は歩きにくいだけでなく、筋力の衰えや転倒のリスクなどがあり、出来れば避けたい歩き方。
年々硬くなりがちな股関節の筋肉をほぐすことで、足を大きく振って大股で歩けるようになります。大股で歩けるようになると股関節周りの筋肉も鍛えられ、歩きやすくなって活動量も増えるという好循環に。日常生活でとても重要な「歩く」という動作を、スムーズに快適にしてくれます。
②姿勢が良くなる
骨盤の股関節まわりの筋肉をストレッチすることで、骨盤周辺の筋肉が柔らかくなり骨盤の後傾や前傾といった歪みが改善されます。
骨盤の歪みは、猫背、ぽっこりお腹、巻き肩、腰痛、肩凝りを引き起こす原因に。股関節ストレッチは骨盤を正しい位置に戻すのに効果的です。
③血流が改善する
足の付け根は下半身の血流やリンパ節が集中しており、上半身と下半身をつないだ循環に重要な箇所です。そのため、股関節周りの筋肉が凝り固まると血流が悪くなり、むくみや冷えの原因になります。
股関節まわりの筋肉をストレッチすることで、筋肉のコリがほぐれ血流やリンパの流れがスムーズに。むくみや冷えの改善が期待できます。
④疲れにくくなる
疲れが溜まりやすい原因の一つに、筋肉が硬くなることで血流が滞り、疲労物質の停滞が起きていることがあります。
股関節ストレッチは全身の血流の巡りを良くしてくれるので疲労改善につながります。また就寝前に股関節まわりをほぐすことで、よりリラックスした状態で睡眠をとれることも、疲労回復に効果的です。
股関節が硬くなっているかも?日常生活の悪いクセ3つ
股関節は何もしないとだんだん硬くなっていきますが、日常生活のクセでさらに悪化させていることも。股関節が硬くなるような生活を送っていませんか?以下の3つに当てはまる人は股関節のコリに要注意です。
①長時間、同じ姿勢をしている
デスクワークで座りっぱなしが続いていませんか?1時間に一度は立ち上がって、少し歩いたり、簡単な股関節ストレッチを加えると良いでしょう。ついつい集中すると長時間パソコンの前から動かないということもありますよね。あえて小さめのコップを使って飲み物がなくなったら取りに行くようにしたり、お昼は外食ではない時も10分外に出て歩いたり、ストレッチをしたりするようにしましょう。
特に在宅ワークの人は通勤の外出がない分、部屋の中の数歩しか歩かないことも。意識して体を動かすようにしましょう。
②姿勢が悪い
股関節の歪みから姿勢が悪くなることもありますが、姿勢が悪いことから股関節まわりの筋肉が硬くなることも多くあります。
猫背の場合、前屈みになるため歩幅が狭くなりがちです。そのためしっかり股関節を伸ばせずに、股関節まわりの筋肉が硬くなったり衰えたりしてしまいます。股関節まわりの筋肉を伸ばすように大股を意識して歩いてみましょう。
また、座っている時にいつも同じ足を組むクセや、立っている時に同じ足を軸にして斜めに立ってしまうクセのある人も要注意です。骨盤が歪んだり、股関節まわりの筋肉の負荷に左右差が生じる原因になります。
③運動をしていない
日ごろから運動をしない生活をしていると股関節まわりの筋肉は弱ったり、硬くなってしまいます。激しい運動ではなく、ウォーキングなど手ごろにできる運動をはじめるだけでも体にとっては大きな変化です。硬くなった股関節まわりの筋肉が歩くだけで柔軟になっていきます。
ウォーキングをする際には大股で。こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
【初心者も簡単】股関節の動作に関連するストレッチおすすめ5選
健康的な生活に欠かせない股関節まわりの柔軟性。柔らかくするのにはストレッチが一番です。
「体が硬くてストレッチなんてできない」と思っている人にこそおすすめの、初心者でも簡単な方法を5つ紹介します。座りながら、寝ながらなど、ちょっとした時間に取り組めるストレッチです。
①座りながらできる「あぐらで足を開くストレッチ」
②立ったままできる「脚の内転外転ストレッチ」
③寝たままもOK「内ひねり・外ひねりのストレッチ」
④レベルアップして効果もアップ「立て膝のストレッチ」
⑤わかりやすい動画で「カラダほぐすYOGA」
①座りながらできる「あぐらで足を開くストレッチ」
ヨガの「合蹠(がっせき)のポーズ」としても有名な、座りながらできるストレッチ方法です。股関節を柔軟にして、血行を促進してくれます。シンプルな動きでわかりやすく、座れるスペースさえあればいつでもできます。
■やり方
1.床に両膝を立てて体育座りになります。
2.あぐらをかくように両膝を外側に開き、足の裏同士を合わせて両手で持ちます。
3.脚の付け根を後ろに引くように意識して、吐く息で背骨を長く伸ばしながら前屈します。
4.4〜5回呼吸したらゆっくりと上体を起こします。
■ポイント
前屈する際は、床に近づくことよりも、背中が丸まらないようにすることを大切にしましょう。
②立ったままできる「脚の内転外転ストレッチ」
椅子につかまって、足を外側・内側に広げるストレッチです。デスクワークの休憩ついでにおすすめです。座りっぱなしで凝り固まった股関節まわりの筋肉を伸ばし、血流も促進。リンパも刺激されて足のむくみを楽にしてくれます。
■やり方
1.椅子の後ろに立ち、背もたれにつかまります。
2.左足を右足の前にクロスするように内側に振り、一番キツイところで10秒キープしてから元の位置に戻します。
3.左足を外側に振り上げ、一番キツイところで10秒キープしてから元の位置に戻します。
4.右足側も同様に行います。
■ポイント
膝やつま先は体の正面と同じ方向に向けたまま行います。上半身は固定して動かないようにしましょう。
③寝たままもOK「内ひねり・外ひねりのストレッチ」
足を開き両膝を立てて、膝を右・左にと倒します。座って行っても良いですし、寝たままでもOK。おしりが痛いとしっかり伸ばせないので、マットの上などで行うとよいでしょう。
■やり方
1.足を広げて、両膝を立てます。
2.そのままゆっくりと両膝を右側に倒します。できるだけ倒して股関節が伸びていることを意識しましょう
3.両膝を戻し、逆側に倒します。繰り返し行いましょう。
■ポイント
足をしっかり広げると効果がより高まります。慣れてきたら足を広げ、しっかりと倒してみましょう。
④レベルアップして効果もアップ「立て膝のストレッチ」
股関節を大きく動かして全身の血流をアップしてくれるポーズ。別名「ローランジ」とも呼ばれているストレッチです、床やソファーに座りっぱなしでテレビを見ていたときの最初の一歩に加えてみましょう。
■やり方
1.両足を腰幅に開いてしゃがみ、両足の前の床に手をつきます。
2.左足を大きく後ろに引いてつま先を床につけます。手の真上に肩がくるようにして、右膝は直角に曲げます。
3.頭と左足のかかとを遠ざけるようにして、骨盤から体を前後に伸ばします。
4.左足を戻して1の姿勢に戻ります。
5.反対側も同様に行います。
■ポイント
後ろに伸ばした「かかと・おしり・膝」が一直線になるようにしましょう。お尻が左右にずれないように注意!
⑤わかりやすい動画で「カラダほぐすYOGA」
もっとわかりやすい股関節ストレッチを知りたい!という人には動画がおすすめ。見ながら・聞きながら、一緒に行うことができます。
こちらは股関節と胸まわりをほぐす「ハイ・ランジ」。2分間ですが効果抜群です。
■ポイント
股関節がしっかり伸びていることを意識しながら、ゆっくりと呼吸を繰り返しましょう。
股関節ストレッチのよくある疑問
最後に、股関節ストレッチで良くある疑問に回答します。
Q.股関節ストレッチで痩せられる?
A.股関節のストレッチだけで体重が落ちることはありませんが、股関節が柔らかくなることで運動効果が上がったり、むくみがとれてスッキリするという効果は期待できます。
特にむくみやすい足に股関節ストレッチは有効です。「痩せた?」と言われたら下半身のむくみが解消したおかげかもしれません。
Q.腰痛に効果はある?
A.股関節が硬いことで動かすときに腰に負担がかかっていた場合は、股関節ストレッチをすることで腰痛が改善します。
腰をひねったり前にかがんだりする際、股関節や股関節周りの筋肉を使っています。股関節が硬くなっていると、その動きを補うために腰に負担がかかってしまいます。股関節周りを柔かくすることで腰の負担は軽減するでしょう。
また、骨盤の歪みから腰痛になることもあるため、股関節ストレッチにより骨盤の位置が正しくなることでの腰痛軽減も期待できます。
Q.股関節に痛みを感じたら?
A.筋肉が伸びているなという「気持ちいい痛み」であればストレッチによる効果ですが、「関節が痛い」「ピキッといきそうでこわい」という場合はそれ以上行わないようにしましょう。
特に朝は、長時間の寝姿勢により靭帯や関節が硬くなっています。強度の高いストレッチを行うと負荷が大きいので、寝起きでのストレッチは軽くてラクなものにしましょう。
股関節を柔らかくして、調子のいい毎日に
あまり意識することのない股関節ですが、日常生活を送るための重要な役割がわかりました。股関節を柔らかくすることで、”姿勢が良くなる”、”血流が良くなる”、”疲れにくくなる”といった「調子のいいカラダ」になるだけでなく、”いつまでも元気に歩く”といった「健康に過ごせるカラダ」の基盤にもなります。
紹介した股関節ストレッチは、思い立ったらどこでも・いつでもできるものばかり。早速始めて、カラダの変化を感じてみてくださいね。