天気痛とはどんな症状?
「雨が降ると古傷が痛む」「台風が来る前に頭痛が起こる」などの言葉を聞いたことはありませんか?気象の変化によって、もともと持っていた不調が悪化することを「気象病」といい、気象病の中でも、天気に影響されて痛みが出ることを「天気痛」と呼びます。
「天気痛」により起こる症状
天気痛の代表的な症状としては、以下のようなものがあります。
・頭痛
・肩こり
・首こり
・めまい
・関節痛
・腰痛
・神経痛
・過去のケガの痛み など
基本的に、普段から健康な方が天気痛を感じることはありません。もともと頭痛持ちの人や神経痛がある人など、何かしらの不調をお持ちの方が気圧の変化によって悪化したように感じる状態が天気痛です。
痛み以外では、気象の変化にともなって発生する「気持ちの落ち込み」や「不安症」なども天気痛に含まれます。梅雨時に気分が鬱々するのも天気痛の症状といえるでしょう。
天気痛の症状はどれくらいで治る?
個人差はありますが、一度天気痛の症状が出るとその後2日間程度は体調不良が続く人が多いようです。ひどい頭痛だけどなんとか職場に行ける人もいれば、休まざるを得ないほど不調になる人も。長い場合は1~2ヶ月も不調な症状が続くことがあるそうです。
天気痛が起こる原因
気圧の変化
天気痛は気圧の変化によって起こります。
人間の体の中で気圧の変化を感じ取る器官は、頭蓋骨に埋まっている内耳(ないじ)だといわれています。内耳のセンサーが気圧の急激な低下を感じると、自律神経が刺激され、その結果頭痛や関節痛などが起こると考えられています。
雨の日、台風などで誘発
気圧が下がる雨の日や台風の時は要注意です。昨今はゲリラ豪雨や温暖地域での降雪など異常気象による天候の変化が発生しており、そのため天気痛を発症する方も以前より増えていると考えられています。季節間の寒暖差も大きい時期も、天気痛を呼び起こすファクターの1つです。
天気痛になりやすい人は
女性が多いと言われています。また、もともと内耳にある三半規管が弱く、乗り物酔いしやすい方は天気痛にもなりやすいようです。乗り物だけでなく、エレベーターなどで頭痛やめまいがする人も三半規管が弱くなっている可能性があります。最近酔いやすいな…と感じる人は天気痛の予防対策をしておくと良いでしょう。
自律神経と天気痛の関係
気圧の昇降が交感神経を刺激し天気痛を引き起こしますが、天気と自律神経はどのような関係でしょうか。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は体を緊張させて興奮状態にし、副交感神経は体をリラックスした状態へ導きます。本来はお互いに必要なときに働くことでバランスを保っていますが、気圧の変化により「意図せずに」自律神経が刺激されるのが天気痛の原因です。
気圧が下がる雨の日は
気圧が下がっている雨の日などは交感神経が刺激され興奮状態になり、脳の血管が収縮して頭痛を引き起こしたり、痛みに敏感になって関節痛などを強く感じたりするように。人によってはめまい、耳鳴りを感じることもあります。
気圧が上がる晴れの日は
逆に気圧が上がっている晴れの日は、副交感神経が優位になりリラックスモードになります。リラックスモードは良いことのように感じますが、自分が意図していない時に急に優位になると、やる気が出ない=だるいと感じたり、強い眠気が現れるようになります。長引くと倦怠感や無気力で鬱々するようになってしまいます。
天気痛の症状をやわらげる対策
「天気のせいだから気にしても仕方ない」といっても、つらい症状を何日も我慢し続けるのは苦しいですよね。少しでも天気痛の影響をやわらげられる対策を紹介します。
耳マッサージを行う
耳まわりの血行が悪くなると、内耳がむくみ、気圧の変化を感じやすくなります。耳まわりをほぐし、血行を良くして余分なむくみを取ることで、天気痛の予防に効果的です。
■やり方
1.左右から頬杖をつくように両手で輪郭を包んだら、人差し指と中指で耳を挟みます。
2.しっかり耳を挟んだまま上下に手を動かしたり、前後に円を描くように動かしたりして耳の付け根をほぐします。
3.挟んだ手を離し、耳たぶを上から下に小刻みにつまみながら移動して最後に中央をつまみ、左右に引っ張ります。
■ポイント
力を込めすぎず、気持ちいいくらいの強さでゆっくりマッサージしましょう。むくみの改善なので、天気痛の痛みがあるときだけでなくちょっと空いた時間に日頃からマッサージしておくといいでしょう。
耳まわりを温める
耳まわりの血行改善のため、冬場はイヤーマフやマフラー、ニット帽などで冷やさないよう工夫しましょう。タオルを電子レンジで温めたり、繰り返し使える小豆カイロなどで冷たくなった耳を労ってあげるのもおすすめです。耳は動かすことができないため体の中でも冷えやすい部位。夏でもエアコンの風で冷えていることがあるので意識してみましょう。
生活リズムを整える
耳まわりのケア以外で、自律神経を整えることも天気痛の予防になります。生活リズムのよい生活は、自律神経を整えるために有効です。
具体的には「早寝早起き」、「3食きちんと食事を摂る」、「適度な運動」です。目覚めたら朝日を浴び、日中はウォーキングなど運動を行い、暗くなったら穏やかに過ごして早めに就寝することを目指しましょう。
▼早寝早起き
夜なかなか寝付けないという方は、どんなに眠くても朝寝坊をせずに、毎日決まった時刻に起きることからはじめてみましょう。朝日を浴びることでズレていた体内時計をリセットできます。
▼食事
朝ごはんは、少量でもいいので必ず食べるようにしましょう。内臓が動きはじめ体内も循環し、3食しっかり食べられるようになります。
▼運動
体を健康に保ち、3食の食事を美味しく食べられ、よく眠れるようになるには「運動」がとても効果的です。続けやすい「速歩き」で運動を取り入れてみましょう。買い物や外出時のちょっとした時間に、姿勢良く少し速く歩くだけで全身への運動効果がありおすすめです。
深呼吸
自律神経の乱れを整える方法として、唯一自分でコントロールできる「呼吸」もおすすめです。
ゆったりと深い呼吸を行うと、自律神経のスイッチが副交感神経に切り替わります。気圧が下がり交感神経が優位になっているときは、意識的に深い呼吸を行い副交感神経にスイッチしましょう。
朝ヨガや夜ヨガなど、呼吸を丁寧に意識した運動を生活リズムに合わせて取り入れることもおすすめです。
天気痛は改善できる。予防対策で天気痛とさよならしよう。
原因不明の頭痛に悩まされていた人、天気痛だからと諦めていた人も、天気痛の原因を知り、対策することで天気痛は予防できます。天気予報で雨や台風があらかじめ分かっている時は、耳を温めたり耳マッサージをしたりして血行をよくしておくことができますね。「食事」「運動」「睡眠」の生活リズムを意識し自律神経を整えることは、天気痛の症状だけでなく心身のさまざまな不調にも効果的です。
天気痛によるつらい頭痛や不調とはさよならし、どんな天気の時にも楽しく笑顔で過ごしたいですね。