暑さ指数(WBGT)とはわかりやすく言うとどんな数字?
熱中症の危険度を表す指数
暑さ指数をわかりやすく言うと、気温だけでは判断できない「熱中症の危険度を表す指数」です。
気温、湿度、ふく射熱から計算されており、単位は「℃」を使うため気温と混同しやすいですが、気温とは異なります。
「湿度」と「ふく射熱」
例えば気温30℃の場合でも、「湿度」が80%と20%の場合では熱中症の危険度は「湿度が高い方」が上がります。
また、夏のコンクリートの上と、土や草のある地面の上では太陽からの照り返しの熱が異なります。この「ふく射熱」が、人が太陽を浴びたときに受けている熱や、日差しで温められた地面や建物などから発生する熱のことです。ふく射熱により周囲の空気がさらに温められて、熱中症の危険度が高まります。
暑さ指数(WBGT)の計算方法
暑さ指数は「暑さ指数測定装置」を使って測ります。この装置は直射日光の当たる場所で、3つの温度を観測しています。
①黒球温度
黒い球の中に温度計がついていて、中の気温を観測します。
人が日向(ひなた)にいるときの体感温度に近い状況での観測です。
②湿球温度
温度計の先に、水で濡らしたガーゼを巻き付けて気温を観測します。
人は汗をかくことで体温を下げますが、ガーゼから水分が蒸発したとき熱が奪われることを利用して、汗の蒸発時の体感を再現しています。
③乾球温度
温度計で気温を測ります。
この3つの計測値をもとに、以下の計算式で暑さ指数が導き出されます。
▼屋外での算出式
暑さ指数=0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
▼屋外での算出式
暑さ指数=0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
そもそも熱中症を引き起こす原因とは?
「暑さ指数」を知ることで熱中症対策ができますが、その前に熱中症になる原因を確認しましょう。
熱中症になる主な原因には、以下があります。
暑さ指数に関わる3つの要因
・気温が高い
・湿度が高い
・日差しが強い
人により異なる、体質や環境など
・体温の調節機能が未熟(乳幼児)
・体温の調節機能の衰え(高齢者、運動習慣がない人など)
・暑熱順化(しょねつじゅんか)が不十分
・肥満傾向にあり、熱がこもりやすい
・水分不足
・寝不足などの体調不良
熱中症になりやすい原因の中には、日頃の生活で対策できることもあります。
暑さに体を慣らしておく「暑熱順化」や、水分をしっかりとる習慣などを意識するだけでリスクがぐっと減りますよ。
暑さ指数(WBGT)を活用して熱中症を予防
暑さ指数(WBGT)と行動指針
重症になると命の危険もある熱中症。環境省が算出している「暑さ指数」では、以下の数字で気をつける必要がありそうです。
①日常生活では...暑さ指数:25以上
②運動など活動する場合は...暑さ指数:21以上
屋外で活動する予定がある日や、夏に外で運動する場合は、あらかじめ暑さ指数をチェックしておきましょう。
環境省が発表する【全国の暑さ指数(WBGT)】のWEBサイトがあります。こちらで今のリアルタイムの暑さを確認することができます。
①日常生活に関する指針
参考:日常生活に関する指針 環境省サイト:https://www.wbgt.env.go.jp/sp/wbgt.php
▼暑さ指数:31以上=危険/すべての生活活動でおこる危険性がある
・高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
・外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
▼暑さ指数:28以上31未満=厳重警戒/すべての生活活動でおこる危険性がある
・外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
▼暑さ指数:25以上28未満=警戒/中等度以上の生活活動でおこる危険性がある
・運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
▼暑さ指数:25未満=注意/強い生活活動でおこる危険性がある
・一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。
②運動に関する指針
参考:運動に関する指針 環境省サイト:https://www.wbgt.env.go.jp/sp/wbgt.php ※気温は参考数値
▼暑さ指数:31以上・気温35℃以上
・運動は原則中止
・特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。
▼暑さ指数:28~31・気温31~35℃
・厳重警戒(激しい運動は中止)
・熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。
・10〜20分おきに休憩をとり、水分・塩分の補給を行う。
・暑さに弱い人(体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など)は運動を軽減または中止。
▼暑さ指数:25~28・28~31℃
・警戒(積極的に休憩)
・熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。
・激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
▼暑さ指数:21~25・24~28℃
・注意(積極的に水分補給)
・熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
・熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
▼暑さ指数:21未満・24℃未満
・ほぼ安全(適時水分補給)
・通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。
・市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。
暑さ指数(WBGT)と、熱中症警戒アラートの関係
暑さ指数:33以上でアラート
「熱中症警戒アラート」とは、暑さ指数が33以上になったときに環境省から発表される情報です。熱中症になる危険性が高いとされた日に、適切に予防処置が取れるようにあらかじめ国民に注意を呼びかけています。
前日の17時と当日の5時に発表
熱中症警戒アラートは、前日の17時と当日の5時に発表されます。お住まいの地域が該当しているかどうかは、こちらも環境省のWEBサイトで確認できます。テレビやラジオなどのニュースや、防災無線の放送などでも放送しています。
熱中症警戒アラートが発出された際には、以下の点に気をつけて行動しましょう。
・エアコンを一日中つけておく
・不要不急の外出は避け、こまめに水分補給する
・暑さに弱い高齢者、幼児などに適切に声掛けして様子を見る
・暑さ指数に応じて、エアコンのない屋内外の運動は原則中止または延期する
もし熱中症になってしまったら...初期症状と対処法
熱中症にならない対策も大事ですが、なってしまったときにいかに素早く気づき、適切に対処できるかが重要です。
熱中症の症状にはⅠ度〜Ⅲ度の段階があります。症状の重さ別に対処法を確認しておきましょう。
熱中症の度数と対処法
▼Ⅰ度(現場での応急処置で対応できる軽症)
・主な症状:めまい、立ちくらみ、筋肉痛、筋肉の硬直、汗が止まらない
・対処法:水分や塩分の補給、涼しい場所への移動、上着を脱がせる、首・脇の下・太ももの付け根を冷やす、皮膚に水をかけて扇風機などで風を当てる
▼Ⅱ度(病院への搬送を必要とする中等症)
・主な症状:頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感
・対処法:Ⅰ度の対処法を行っても改善がみられない場合はすぐに病院へ。
特に意識がしっかりしていない、自分で水が飲めない場合は速やかに救急車を呼びましょう。
▼Ⅲ度(入院して集中治療の必要性がある重症)
・主な症状:意識がない、けいれん、真っ直ぐに歩けない、高体温、声掛けへの返答がおかしい
・対処法:すぐに救急車を呼びましょう。救急隊の到着まではできる限り首・脇の下・太ももの付け根など太い血管のあるところを冷やしましょう。
熱中症対策には、暑さ指数を確認しよう
近年、話題になる熱中症。「暑さ指数」も2006年から取り入れられた指数です。TVや天気情報でも使われるので、覚えておきたいですね。
6月〜9月までは熱中症に注意が必要な期間と言われていますが、BBQ、海、野外イベントなど屋外で暑さを満喫する機会も増えがちな期間です。熱中症になって慌てないためにも暑さ指数をチェックして、飲み物の用意をしたり、日陰を選んで遊ぶなどの意識をするようにしましょう。暑さ指数が21以上の場合は、検討も必要です。
前日までに暑さ指数が発表されるので、天気とあわせて確認したいですね。