肩こりが起こる原因とは?
首から肩にかけての3つの筋肉
肩こりが起きるメカニズムは、首から肩・背中まで繋がっている3つの筋肉の凝りから始まります。 自分で肩を揉むと触ることができる、首から肩にかけて繋がっている体の表面にある「僧帽筋」。また、体の深部にある「肩甲挙筋」と「菱形筋」。この3つの筋肉が"肩こり”に影響する筋肉です。
筋肉のイラストを見てわかる通り、「僧帽筋」と「肩甲挙筋」の筋肉は首の筋肉と繋がっています。肩こりは、首の凝りも大きく関わっています。
筋肉の緊張から血行不良、それに伴う筋肉疲労
この3つの筋肉が凝り固まり血行不良になることで、肩こりが発生します。凝り固まっている程度によっては「肩が動かしにくい」「動かすと痛いなぁ」で済みますが、凝りがひどくなり血管を圧迫するようになると疲労物質が溜まり、痛みを引き起こすようになります。
肩や首にしびれを伴う痛みが出てきたら肩こりがかなり進んだ状態。さらに悪化すると「頭痛がする」「吐き気がする」といった、日常生活に影響を及ぼすほどの症状を引き起こすこともあります。
慢性的な肩こりは生活習慣から
このように、筋肉の緊張や強張りから発生する肩こり。筋肉が凝ってしまう"肩こりの要因”としては大きく2つあり、どちらも普段の生活習慣によるものです。
<1>姿勢が悪い(猫背・ストレートネック)
<2>運動不足
肩こりで困っている人は、思い当たる節があるのでは?詳しい理由を見ていきましょう。
<1>姿勢が悪い(猫背・ストレートネック)
猫背
立っているときに、体よりも頭が前方に出ていると重たい頭を支える「首と肩」に多くの負担がかかります。
頭の重さは体重の約10%といわれているため、体重が50kgなら頭は約5kgの重さ。5kg入りの米袋や牛乳パック5本分ですね。これらを両腕で真上に持ち上げるならいくらか耐えられますが、斜め前に差し出した場合では1分程度でも腕が震えてしまうのではないでしょうか。
猫背で「頭が前に出て肩も前にすぼまっている」のも同じ姿勢。猫背だと背中も丸まりがちなので、首から背中まで繋がっている「僧帽筋」に大打撃。かなりの緊張と凝りを強いられてます。肩甲骨のあたりまで凝りを感じている人は、猫背によるものが大きいかもしれません。
ストレートネック(別名 スマホ首)
スマホを閲覧しているとき、首を曲げて下を向いているのに気づいていますか?この姿勢は頭が前に出るため首〜肩への負担が強くかかります。これは猫背ではない、姿勢の良い人にも当てはまります。
読書をする場合も同じ姿勢を続けがちではありますが、ストレートネックが別名"スマホ首”と言われるのは、スマホの方が長時間同じ姿勢で閲覧しがちなため。スマホはネット以外にも動画やSNS、ゲームなどさまざまなコンテンツがあるため、長い時間同じ姿勢のままになっている傾向が強いのです。
姿勢が良い人でも若い世代でも起こりうる肩こりとして、スマホを閲覧する姿勢や時間には注意が必要です。
<2>運動不足
運動で筋肉がほぐれる
筋肉の凝りは筋肉を適度に動かすことで解消されます。スイミングやエクササイズ、スポーツなどの運動をすると自然に肩を動かすため、凝り固まった肩の筋肉がほぐれていきます。
運動で血行が促進される
また、運動をすると血液やリンパの流れも活性化。血行不良が解消されることで、肩こりの痛みの原因ともなる疲労物質も排出されやすくなります。
運動をしておらず血の巡りが悪いと「体の冷え」にも。冷えはさらなる血行不良にもつながります。
運動が肩こりに良い点は、すでになってしまった肩こりを改善できるところ。姿勢の見直しは肩こりの"防止”になりますが、運動は肩こりの”解消”になります。すでに肩こりでお悩みの人は運動が効果的。まず今の凝り固まった筋肉をほぐし、血行を良くすることで”気持ちのいい肩”に戻してあげましょう。
肩こりに効くセルフストレッチ
肩こり解消に効果のある「運動」の一つとして、スキマ時間でできるセルフストレッチを動画とともに紹介します。どれもトレーナーのわかりやすい声かけとともに、一緒に行うことができます。
① 肩回し(エルボーサークル)のストレッチ
② 1分で簡単!ウィンギングストレッチ
③ 片側づつ&プラスアルファ。2分でできる肩甲帯ストレッチ
④ 基礎から応用編まで。肩・首の柔軟&肩甲骨ストレッチ
①、②、③は難易度は低めの1〜2分程度のストレッチで、座ったままでもできます。 ④は基礎編5分、応用編7分程度の床に膝をついてやるストレッチですが、こちらも運動初心者でもできる簡単なゆったりとした動作をつなげています。
「肩や首が疲れたな」と感じる時や、スマホを見終わった後の習慣として取り入れてみてください。
①肩回し(エルボーサークル)のストレッチ
肩を回すだけの”超簡単”ストレッチです。「肩甲挙筋」と「菱形筋」の筋肉をほぐします。
■肩回し(エルボーサークル)のストレッチのやり方
1.腕を大きく横に広げて、手の先を肩に乗せます。
2.胸を張り、そのまま肘をゆっくりと大きく円を描くよう回します。
3.後ろに回した時に肩甲骨が動いて寄るよう、意識してしっかり回してください。
4.1分ほどゆっくりと行いましょう。
5.反対回しも行いましょう。
■肩回し(エルボーサークル)のストレッチのポイント
前屈みになると効果が薄れてしまいます。胸を張って大きく回しましょう。肩が動きにくい人は、最初は小さな円から徐々に大きな円にするといいでしょう。コツが掴めてきたら、両側のひじが交互になるよう行ってください。
②1分で簡単!ウィンギングストレッチ
次は"1分間”ストレッチです。簡単な反復動作ですが、呼吸をしながらゆっくり行うことで、筋肉も気持ちもほぐれてくるおすすめストレッチです。
■ウィンギングストレッチのやり方
1.手を前に出し、前にならえの姿勢になります。
2.息を吐きながら手のひらを外に向け肘を後ろへと引きます。後ろへ引く際は、背中をギュッと寄せるようにしましょう。
3.肘を閉じる→横へ開く→上へ上げる→下へ下ろす→閉じる(戻す) の動きを繰り返します。
■ウィンギングストレッチのポイント
腕を後ろに引くときは息を吐きながら。呼吸をしながらゆっくり行いましょう。
③ 片側づつ&プラスアルファ。2分でできる肩甲帯ストレッチ
上で紹介した1分でできるウィンギングのストレッチに、プラスアルファの動作を加えたストレッチです。片方づつ行い、最後に腕と背中をぐーっと伸ばしてよりストレッチ効果を高めます。
■肩甲帯ストレッチのやり方
1.まずは肩まわりをチェック。左右の腕を上げて、肩回りの感覚を覚えておきます。
2.腕を前に伸ばし、肘を90度に上げます。
3.そのまま腕を後ろに引き、肩甲骨が内側に寄るよう体をねじります。
4.後ろ側に引いた腕を前に戻します。
5.曲げていた肘をまっすぐに戻し、手の先を前に伸ばします。指先を遠くへ、背中を少し伸ばすように行いましょう。
6.自分のペースで繰り返していきましょう。反対側の腕も同じように行います。
7.最後に、両手を組んで上に大きく伸ばします。最初よりも少し上がるようになっていませんか?
④基礎から応用編まで。肩・首の柔軟&肩甲骨ストレッチ
ティップネスで大反響だった「30日間チャレンジ!肩こり・腰痛解消編」の中から、肩こりの動画を紹介します。基礎編と応用編の2つあるので、どちらもやってみてくださいね。
・はじめに、肩まわりの柔軟性をチェック
・首まわりのストレッチ
・肩甲骨のストレッチ(基礎編〜応用編)
・最後に、もう一度肩周りの柔軟性をチェックして効果を確認!
肩とつながる、"首の筋肉”のストレッチ
前述した通り、首の凝りは肩こりに一役買っています。現代病でもある”首の凝り”をほぐせるストレッチを紹介します。
頭が前に出た状態が続くと、首の後ろの筋肉「頭板状筋(とうばんじょうきん)」や、首の左右にある筋肉「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が緊張状態となり、凝り固まってきます。この2つの筋肉を、ストレッチしてほぐしてあげましょう。首の筋肉が凝り固まりすぎていると、首が後ろに曲がらない人も。あなたはどうでしょうか??
スマホ首解消ストレッチ
■スマホ首解消ストレッチのやり方
1.背筋を伸ばし、腕を伸ばして手を後ろで組みます。立ってでも座ってでも構いません。
2.腕を下向きに力を入れ、肩を落とします。その際、肩甲骨を寄せるように胸を開きます。
3.その姿勢のままゆっくりあごを上げて天井を見ます。
4.あご下の筋肉を10秒ほど伸ばします。
5.そのまま左右にゆっくり首を振ります。首の横の筋肉が伸びるよう意識しましょう。
5.顔を正面に戻します。
■スマホ首解消ストレッチのポイント
首がしっかり伸びていないと効果が半減してしまいます。首を動かす前の「肩を落とす動作」を行ってからあごを上げましょう。このストレッチは下あごのたるみ解消にも効果的ですよ。
姿勢改善に効く、背中トレーニング
猫背など、姿勢の悪さから起因する肩こりには「背中のトレーニング」も重要です。 猫背の原因の一つに、「背中の筋力が弱いこと」があげられます。背中の筋トレは、背筋をしゃんと伸ばした状態で支えられる状態をつくれます。歳をとるたびに筋力は衰えていくため、トレーニングをしないと背中が曲がりやすく。姿勢を改善したい人は、背中の筋肉もあわせてトレーニングしましょう。
肩こりのない生活に。姿勢と運動、ストレッチで解消しよう。
多くの日本人が感じている肩こり。日本人は姿勢の悪さ、運動不足も海外の人に比べて意識が低いと言われているので、肩こりが多いのは当然の結果なのかもしれません。
逆を返せば、「姿勢を良くして、運動(ストレッチ)をする」ことで肩こりは改善します。この2つは肩こりだけでなく、全身の健康状態にも良い影響を与えてくれます。いいことしかない肩こり対策、今日から意識して始めてみませんか?