【基本知識】体脂肪とは?簡単に説明すると...
体脂肪とは
体脂肪とは体内に蓄積されている脂肪のことで、おおきく4つに分類されます。
①皮膚の下にある皮下脂肪、②内臓まわりにつく内臓脂肪、③コレステロールなど血液中にある脂肪、④細胞膜にあるリン脂質などがあります。
体脂肪は体内でさまざまな働きをします。エネルギーの貯蔵や体温の保持、内臓の保護、ホルモンの生成・分泌、脂溶性ビタミンの消化吸収促進など重要な役割を毎日担ってくれています。
「体脂肪=ない方がいい」ではなく、人間が生きていくものに欠かせない脂肪です。多すぎる、または少なすぎると体の機能に影響が出そうなのは想像がついてきますね。適正な体脂肪率の範囲があるので、目安にしましょう。
男女別の適正な体脂肪率
20〜50代の女性の場合
一般成人女性の場合、WHOと日本肥満学会が定める標準範囲は21〜35%となります。
ただ、見た目として理想的な範囲は21〜28%程度です。ヘルシーでバランスがよく、女性らしい美しい曲線の印象となります。20〜50代の体脂肪率ごとの体型や印象をまとめました。
※標準体重でも体脂肪率が20%以下の場合は、筋肉量がやや多めです。
※体重が軽めで体脂肪も低い場合は、筋肉が少なめです。
体脂肪が増えすぎると、糖尿病のリスクを高める状態である耐糖能異常や血液中の脂質バランスの異常である脂質異常症などの疾患を引き起こし、それらが肥満症につながる可能性があります。こうしたリスクを避けるためにも、適切な体脂肪率を維持し、健康的な体づくりを進めましょう。
参考:一般社団法人日本肥満学会『あなたの肥満、治療が必要な「肥満症」かも!?』
20〜50代男性の場合
一般成人男性の標準体脂肪率は11〜21%です。標準範囲の中でも11〜16%が細マッチョと呼ばれる理想的な範囲となります。
男性は女性よりも体脂肪が少なく、約10%程度の差があります。
気になる自分の体脂肪は?
自分の体脂肪率はご存知ですか?数年前に測ったきり...という人もいるかもしれません。
年齢や食生活・運動習慣により、体脂肪率は簡単に変動します。過去の体脂肪率ではなく、今の自分の体脂肪率を測定してみましょう。
体脂肪率を測るには、各メーカーから販売されている脂肪率測定付きの体重計で測ります。もしくは薬局やフィットネスジムにも置いてあるところがあります。ただ、体脂肪や体重を落としていく際のモチベーションにもなるので、自宅に体重&体脂肪測定器があると便利ですね。
体脂肪率を1%減らす3つの”条件”
理想的な体脂肪率を目指すためには、食事、運動、そして睡眠の3つに関する条件を意識することが重要です。
脂肪を1kg減らすためには、約7,000kcalを消費する必要があります。これを1日あたりで計算すると、消費カロリーが摂取カロリーを約230kcal上回る生活を毎日続けることで、1ヶ月で1kgの脂肪を減らせる計算になります。
例えば、体重50kgの人が体脂肪率を1%減らす場合、約0.5kgの体脂肪を落とす必要があります。この場合、3,500kcal(7,000kcal×0.5kg)を30日で割ると、1日あたり約116kcalを節制または消費すればよいことになります。
これを達成するためには、食事によって摂取エネルギー量をコントロールし、運動によって消費エネルギー量を増加させるのが効果的で、それを確実に遂行させるために大切なのが睡眠なのです。
体脂肪率を1%減らす3つの条件についてそれぞれ見ていきます。
①食事...摂取カロリー < 消費カロリー
体脂肪率を落とすために最も大切なことは食事で、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくすることです。
人は生きるためにカロリーが必要です。呼吸をしたり血液を動かしたりする生きるためのカロリーは食事から摂取し消費します。
消費する分のカロリーを食事から十分に摂取できなかった場合、体脂肪などを分解してカロリーを得ます。その際に体脂肪は水と二酸化炭素に分解されカロリーを作り出すのです。
逆に、摂取カロリー量が多くなっているとカロリーを蓄積するために体脂肪を合成します。
体“脂肪”という文字から誤解されがちですが、脂肪分だけではなく炭水化物やタンパク質も余分なカロリーになるので注意が必要です。
②運動...体の脂肪を燃焼させる
運動をすることで体脂肪率を落とすこともできます。
運動すると消費カロリーが増加しますが、その際、より多く必要になったカロリーを補うために体脂肪の分解が促進されます。これが一般的に言われている 脂肪燃焼 です。特に有酸素運動をすることにより脂肪を燃焼させやすくなります。
また、運動をすることで筋肉に刺激をいれることにつながり、筋肉量の減少を抑えることにもつながり、体脂肪率の減少をより大きくさせることができるのです。
この「食事」と「運動」で体脂肪を効率的に減らす、具体的な方法を紹介します。
➂睡眠...適切な睡眠時間を確保する
適切な睡眠は、体脂肪率の管理において極めて重要な要素です。
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲を増進させる「グレリン」の分泌が増加、一方で食欲を抑制する「レプチン」が減少します。この結果、過食のリスクが高まり、特に高カロリーな食品を摂取しやすくなるため体脂肪の蓄積につながります。
また、睡眠不足はインスリン感受性の低下を招き、代謝が鈍ることで脂肪が蓄積されやすくなります。一方、深い睡眠中に分泌される成長ホルモンは、脂肪燃焼や体の修復を助けます。
さらに、睡眠不足はストレスホルモン「コルチゾール」を増加させ、メンタルの不安定化や衝動的な食行動を引き起こす可能性があります。質の高い睡眠を確保することで、これらの悪影響を防ぎ、体脂肪率の管理がしやすくなります。
アメリカの全米睡眠財団は成人に7〜9時間の睡眠を推奨しています。適切な睡眠時間を確保することは、食欲や代謝を整え、体脂肪率の改善や健康を維持するために欠かせない重要な条件です。
【基本編】体脂肪率を減らす方法① 目標設定
ダイエットで効果を出すためには「継続」が最も重要で、そのカギとなるのが「目標設定」です。目標がないと「今日はどれくらい食べていいのか?」「運動は週何回必要なのか?」が曖昧になり、場当たり的な行動になりがちです。その結果、主観的な評価で「なんとなくできた」「守れなかった」となり、モチベーションが低下して挫折につながることもあります。
一方、「〇月までに体脂肪率を△%落とす」といった具体的な目標を設定すると、運動や食事の計画が立てやすくなります。例えば、「摂取エネルギーは1日〇kcal以内」「お米は何グラム」「コンビニで選ぶ弁当は△kcal以内」と具体的に管理することで、目標達成に向けた行動を逆算し、計画的に取り組むことが可能です。
目標を設定することでモチベーションが高まり、行動を継続する力にもつながります。具体的な目標を持つことは、体脂肪率を減らすための第一歩です。
【食事編】体脂肪率を減らす方法② カロリー管理のコツ
摂取カロリー < 消費カロリー
前章で解説したように、食事面ではカロリー過多に注意しましょう。1日の消費カロリーよりも摂取カロリーを少なくすることが目標です。
摂取カロリーが消費カロリーよりも多くなるとカロリーを蓄積するために体脂肪を合成します。摂取カロリーが消費カロリーを上回るとほかに何をしても体脂肪が増加し、体脂肪率の減少にはつながりません。
脂肪1kgを落とすためにはトータルで約7,000kcalほど大きく消費する必要があります。1ヶ月で体脂肪を1kg落とす場合、毎日約233kcalほど消費カロリーを大きくすることが目安となります。
カロリーの見直しは”間食”から
カロリーを見直す際、”食事”ではなく”間食”を見直しましょう。おやつ、夜食などに、甘いおかしや油分の多いポテトチップスなどを食べていませんか?
カロリーは多いですが、栄養はありません。間違っても「おやつを食べた分、食事を抜く」といったようなことはないようにしましょう。体脂肪が減った際のごほうびとして、しばらくおかしはやめて、食事のみにしてみましょう。
栄養バランスの重要性
お肉を食べない、お米を食べないなど栄養バランスが悪くなると体調面に影響があるだけでなく、体脂肪率も下がりにくくなります。
タンパク質や糖質の摂取量が極端に少ない状態では筋肉が減少し、脂肪の減少が少なくなるからです。
ビタミン・ミネラルが不足すると体調悪化につながり、健康のためのダイエットが本末転倒になってしまうかもしれません。顔色などの見た目にも影響が出てくることもあります。間食を見直し、食事ではバランスよく食べて、全体的な総カロリーが減るようにしましょう。
体脂肪を減らすために意識したいメニュー
意識して摂りたいのは、タンパク質を多く含む「お肉・お魚・卵・大豆」です。
体脂肪率を効率的に落とすためには、筋肉を残して脂肪だけを落とすことがカギ。筋肉量を減らさないように特に大切になるのが筋肉の主な原料であるタンパク質です。
タンパク質が不足すると筋肉量は落ちやすくなり、体脂肪率も下がりにくくなります。
毎食の食事のメニューで、お肉・お魚・卵・大豆のどれかが入るように意識しましょう。
早食いは避けよう
早食いは、健康や体脂肪の管理においてさまざまな悪影響を及ぼします。早く食べると、血糖値が急激に上昇しやすくなります。この急上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、インスリンというホルモンが大量に分泌される原因となります。インスリンは糖を細胞に取り込む役割を持っていますが、同時に脂肪の合成を促進するため、分泌量が増えると体脂肪が蓄積されやすくなります。
さらに、早食いでは食べ物をよく噛まずに飲み込むことが多いため、満腹中枢が十分に刺激されず、食事を適量で止めるのが難しくなります。その結果、必要以上のカロリーを摂取してしまい、ダイエットや体脂肪率の管理に悪影響を及ぼします。
体脂肪を減らし健康を維持するためには、食事の際にゆっくりとよく噛んで食べることが大切です。1口ごとに20~30回を目安に噛むことで、消化吸収がスムーズになり、満腹感を得やすくなります。
【運動編】体脂肪率を減らす方法③ 有酸素運動のコツ
有酸素運動で脂肪が燃焼
体脂肪率を減らすのに運動は欠かせませんが、最も効果的な運動は「有酸素運動」です。
有酸素運動とは、呼吸をしっかりと行い、10分以上続けられる運動で、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが当てはまります。
人が運動をするときに主に使うエネルギー源は糖質と脂質なのですが、有酸素運動は主に脂質を利用してエネルギーを生み出します。
運動を始めると脂肪が燃焼し始めます。時間が短くても燃焼しますが、せっかくなのでできるだけ20分以上継続して効率的に燃焼させましょう。
家でもできる有酸素運動を紹介します。
家でできる有酸素トレーニング 01/踏み台昇降
自宅にちょっとした段差や階段がある場合、踏み台昇降がおすすめです。小さな段差でもOK!繰り返すことで十分な有酸素運動になります。
目の前にある段差に「登る・下る」を繰り返すだけのとてもシンプルな運動で、細かいテクニックも必要ありません。音楽やラジオなどの音声配信を聴きながら・TVを観ながらでもOK。まずは10分行ってみましょう。
家でできる有酸素トレーニング 02/その場でもも上げ
段差がなければ、その場でのもも上げでOK。その場でももを「上げる・下げる」を繰り返すだけのトレーニングです。道具も必要なく今すぐ実施できますね。
ももを高く上げると強度が高くなるので、普通に歩くより気持ちいくらいにしましょう。息が弾み体が温まってくる程度で、10分以上行いましょう。こちらも何かをしながらだと続けやすいですね。
家でできる有酸素トレーニング 03/スクワット
その場で立った状態からお尻の上げ下げを行うスクワットは、下半身全体を効果的に鍛えられるトレーニングです。特にお尻の筋肉である大殿筋や太ももの大腿四頭筋を鍛えることができ、体幹全体の強化にもつながります。スクワットは無酸素運動の印象が強いですが、ゆっくりとしたペースで断続的に長時間行うことで効果的な有酸素運動にもなります。
<基本のスクワットのやり方>
1. 両足を肩幅に開き、つま先と膝の向きを揃えます。両手を前に出しておくと、次に後ろにかかる重心とのバランスをとりやすいです。
2. 息を吸いながら腰をゆっくりと落とします。かかとが上がらないよう、お尻が後ろに引っ張られるように下げましょう。
3. 太ももが床と平行になるまで腰を落とします。
4. 息を吐きながら、膝が伸び切らないところまで腰の高さを戻します。
5. 10回繰り返したら休憩をとり、3セット行います。
<基本のスクワットのポイント>
● 上下運動は勢いではなく筋肉を使ってゆっくりと行ってください
● 膝はしっかりと広げましょう。つま先よりも膝が内側に入ると膝を痛める原因になります。
● 背中を丸めないで、胸を張って。お尻を突き出すように、おへそを床に向けるような意識で行いましょう。
スクワットは簡単にできるだけでなく、継続的に取り組むことで代謝アップや脂肪燃焼にも効果的です。フォームを正しく守りながら取り組むことで、ケガを防ぎつつ効率よくトレーニングを進めましょう。
【日常編】体脂肪率を減らす方法④ 睡眠時間の確保
あなどれない”睡眠”
体脂肪率を減らすための直接的な条件として食事と運動がありますが、もう一つ効果的な習慣があります。それが睡眠です。
十分な睡眠を摂ると、脂肪を燃焼させ筋肉を合成する成長ホルモンの分泌が促されます。筋肉量が上がると体脂肪率も減る傾向にあります。逆に睡眠不足におちいると筋肉を分解するホルモンであるコルチゾール分泌が増加し、筋肉を分解してしまいます。
体脂肪率を減らしたければ睡眠をしっかりとりましょう。成人では7〜9時間の睡眠時間が推奨されています。
睡眠不足で食欲増加も
また、睡眠不足は副次的な悪影響もあります。睡眠不足になると食欲を増加させるホルモンであるグレリンの分泌が増加し、無駄に食べてしまいます。夜起きていることでつい口寂しくなって食べてしまう人もいるのではないでしょうか。
食事・運動・睡眠の3つの習慣を大事にすることで、体脂肪率1%減もすぐそこです。健康的な生活で、顔色も調子も良いイキイキとしたカラダも手に入れられそうですね。
体脂肪を落としたい時によくある疑問・質問
最後に、体脂肪を落としたいときによくある疑問や質問について解説します。
Q.体脂肪率が標準範囲外になるとどうなる?
A.体脂肪は高すぎても低すぎても、健康リスクの上昇が高まります。
体脂肪が標準より高い、つまり肥満の状態になるとメタボリックシンドロームや心臓血管系に悪影響が出たり、血中コレステロール濃度や血中脂質に異常な値がでる可能性が上がったりなどの悪影響があります。
一方、標準より低いとホルモン分泌に影響し、免疫能力が低下したり、女性の場合は月経不順におちいったりする可能性が高まります。
健康的な体でいるためには標準範囲内にしておくことが大切です。生活習慣や年齢で体脂肪率は変動するので、時々測るようにしましょう。
Q.体脂肪率を1%落とすペースや期間はありますか?
A.体脂肪率を落とすペースの目安は、1ヶ月に1%程度を目安に考えましょう。
体脂肪1%は生活習慣を改めることが大切です。食事を抜いたりして急激に落としても、リバウンドしてしまいます。
筋肉量・必要な栄養素を維持しながら、健康を損ねずに毎月1%ずつ落とす程度がちょうど良いと考えられます。
Q.体脂肪率が3%変わるとどうなる?
A.体脂肪が3%変わると見た目にも変化が現れます。30%が27%に標準+から標準ーになりますね。
体脂肪の組成密度は低く、筋肉と比べるとサイズ感は随分と大きくなります。なので体脂肪率が高いと大きく太く見えてしまいますし、逆に体脂肪率が下がれば細くスッキリした印象になります。
1ヶ月で1%ずつおとせば、3ヶ月で3%落ちます。かなり違ってきますね。
Q.どのくらいの期間で体脂肪は落ちてくる?
A.食事・運動を変えた日から体脂肪は落ち始めますが、数字に出てくるのは少し先で1ヶ月程度でしょう。体脂肪率計の数字も見た目にも少し変化するようになってきます。
元々体脂肪率が高い人は、落とす脂肪が多くあるため見た目の変化が早く感じられるかもしれませんし、やや低めの人は少し時間がかかるかもしれません。ただ食事と睡眠の習慣を見直し、運動を取り入れれば体脂肪は必ず落ちます。
もし1日くらい食べすぎた、運動をしなかった、という日があっても構いません。理想的な体型と体脂肪率の目標をしっかり持って、長期的な視点で健康的かつ理想のカラダを手に入れましょう。
体脂肪を落とすコツを知り、理想の体脂肪率に
体脂肪率を落として理想の体型になる際、大事なのは筋肉量などを落とさずに体脂肪だけを落とすこと。健康的・効率的に体脂肪を落とすことができます。
食事ではタンパク質を意識して、バランスよくとりましょう。まずは間食を見直すだけでも違いますよ。
運動では、ながら運動でできる有酸素運動をさっそく始めてみましょう。外でも家でも「歩く」だけで脂肪が燃焼し始めます。運動をするとぐっすり眠れるようになるので睡眠によるホルモンバランスも整いそうですね。
体脂肪率は生活習慣で変化が見られる、やりがいのある数字です。短期的な目線ではなく健康的で理想の自分を目指して、長い視点で変わっていきましょう。目標に向かって生活をちょっと良くしている自分がもっと好きになってくるはずです。