この不調、夏バテ?
だるい、眠い、食べれない...のは夏バテかも
暑さに加えて、湿度も高くなる日本の夏。「夏バテ」という言葉で知られるとおり、夏場には体調を崩す人が増加します。
自覚しやすい症状だと、「だるい・眠い」「食欲がでない」「集中できない」などで、ひどくなると食欲不振による栄養失調や脱水、熱中症などを引き起こします。
本格的な夏の前から感じる人も
最近は6月から「疲れやすさ」を感じる人もいるようです。原因としては、異常気象や酷暑などの天気によるものから、2年以上にわたる制限付きの生活で体力が低下したことによるものなど。
生活者意識調査(2022年5月26日~5月30日)の結果によると、「今年の猛暑を乗り切る体力について」は、「とても不安」「やや不安」と感じている人が6割以上となりました。
夏バテの原因は、自律神経にあり
「夏バテに効く薬」はない
夏バテは、気温や湿度が高くなる変化に体がついていけず、自律神経が乱れるために起こります。
医学的に夏バテという病気があるわけではないため、「夏バテを治す薬」はありません。 夏バテを予防する、解消するには「自律神経を整える」ことが大切です。
自律神経とは?
自律神経とは、人間のさまざまな機能をコントロールする“司令塔”のような存在です。心拍、呼吸、体温調節・発汗、消化・代謝、排尿・排便、などあらゆる生命活動を促しており、わたしたちの意思とは関係なく、私たちが寝ている時も自律神経は働き続けています。
自律神経には2種類あり、活動時に優位となる「交感神経」と、寝ている時や安静時に優位となる「副交感神経」で構成されています。この働きを適切なタイミングで切り替えることによって、人間のカラダとココロは活動と休息の時間をとれています。
自律神経が疲れ果てている
自律神経の働きの一つに、「体温の調整」や「発汗」があります。現代の夏のように、屋外は猛暑、室内は冷えすぎ...と温度差が激しい場合は、自律神経がフル稼働。
また、疲れた自律神経を回復するのには「睡眠」が大事ですが、熱帯夜などで睡眠不足になるとさらに自律神経の負担に。リラックスモードへの切り替えも自律神経が行なっているため、さらにカラダとココロがぐっすり休まらないという悪循環にも陥ります。
カラダとココロが切り替わらない
自律神経のバランスが少しずつ乱れると、活動モードになるべき日中にだるかったり食欲が出なかったり、リラックスして寝る夜には目が冴えて寝つきが悪いなど、カラダとココロの切り替えがうまくできなくなくなります。6月くらいからなんだかやる気が出ない、だるい、眠い...などは、「夏バテ」かもしれません。
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夏バテしない、自律神経を整える方法
意識しないうちにバランスが乱れると、さまざまな不調を引き起こす「自律神経」。暑さに負けず元気に過ごすために、夏バテ対策としての自律神経を整える方法を紹介します。
自律神経を整える① エアコンを28度に設定する
暑いとついエアコンの温度を下げたくなりますが、冷たい風に長時間あたっていると体は体温を下げないように交感神経を優位にして血管を収縮させます。
日常的に冷たい風にあたっていると交感神経がフル活動し、副交感神経への切り替えがうまくいかないことも。
また、暑い外から帰ってきた時もエアコンの温度をぐっと下げるのも要注意。急激な温度差も自律神経の体温調整に負担を与えます。冷房は環境省が推奨する「28度」を目安にしましょう。
自律神経を整える② 睡眠を7時間確保する
また、睡眠の質も夏バテには大切です。熱帯夜になる夏は、寝苦しくてぐっすり眠れなかったり途中で起きてしまったりします。
睡眠不足が続くと体がきちんと休息できず、自律神経のバランスが乱れやすくなります。7時間前後を目安に、十分な睡眠時間を確保しましょう。
副交感神経が優位になっている”入眠後3時間”までが寝付きの良さのポイントです。寝るタイミングは冷房をしてタイマーOFFにするなど、入眠しやすい環境を整えましょう。
運動をすると夜も眠りやすくなります。少し暗くした寝室でストレッチなどをするのもいいですね。
自律神経を整える③ 運動を30分する
適度な運動には、自律神経を整える効果があります。
運動中は交感神経が優位になりますが、運動が終わった後はゆっくりと副交感神経が優位になるため、自律神経の切り替えやバランスを調整してくれます。
他にも運動には、ストレス解消、ホルモンバランスの調整、眠りやすくなるなどの自律神経に良い効果も。意思とは関係なく働いている自律神経ですが、運動をすることで整えることができるのです。
自律神経を整える④ タンパク質をとる
夏バテでさっぱりしたものばかり食べていると、肉などのタンパク質が不足しがち。肉に多く含まれる「ビタミンB6」は、交感神経を抑える作用のあるセロトニンが含まれており、自律神経の働きをサポートしてくれます。
また、ビタミンBは疲労回復にも大事な栄養素です。疲れやすい夏場はとくに意識して摂りましょう。
夏の不調から早く回復するために
夏バテには、原因である自律神経を整えることが肝ですが、それ以外にも夏の不調から回復できる生活習慣があります。
不調からの回復① 腸を整える
腸は「第2の脳」とも呼ばれるほど大事な器官。腸の調子が悪くなると下痢や便秘などの症状が出るのはご存知の通りですが、最近の研究で「腸は睡眠の質に影響する」ことが明らかになりました。
腸内の細菌が「睡眠ホルモン」や「幸せホルモン」に関わっており、腸内環境を整えることはぐっすり眠るために大切な要因です。
腸を整えるための代表的な3つの習慣を紹介します。
◎腸マッサージをする
あおむけに寝たら、膝を軽く曲げ、両手をお腹の上に乗せます。おへそのまわりを時計回りで手の平全体で軽く押して刺激します。痛くない程度の力で押しましょう。
◎腸を温める
温かい食べ物や飲み物を選び、体の内側から温めましょう。寒いときは腹巻をしたりしてお腹まわりを冷やさないように意識してください。
◎発酵食品と食物繊維を摂る
乳製品、納豆、糠漬け、キムチなどの発酵食品や、野菜、きのこ、海藻、芋類、豆類、果物などの食物繊維を意識してとりましょう。
不調からの回復② 呼吸を整える
呼吸を深くすることで、緊張とリラックスの切り替えとなる自律神経が整ってきます。ココロを落ち着かせたい時にゆっくり呼吸をするといいのはこのため。
日々、無意識にしている呼吸ですが、夏バテしているかなと感じた時は深い呼吸をしてみてください。
お風呂上がりや睡眠前に行うと心身がリラックス状態となり、睡眠の質の向上にもつながります。
◎「正しい呼吸」のやり方
1)立ったまま、もしくは椅子に座ってお腹に手を添えます。
2)口から息を吐ききります。このとき、お腹をぺたんこにするように意識しましょう。
3)息を吐ききったら、鼻から3秒かけて息を大きく吸い込みます。このとき、お腹を膨らませることを意識しましょう。
4)これを5~10分ほど繰り返します。
もう夏は苦手じゃない!自律神経を整えて夏バテ知らずに
夏バテの原因は自律神経の乱れということがわかりました。整える方法としては、
① エアコンを28度に設定する、② 睡眠を7時間確保する、③運動を30分する、④タンパク質をとる
の4つが大事なポイントです。
すでに夏バテされている人にも効果あり。早速やってみて夏バテを撃退しましょう。良質な睡眠のためにも、腸マッサージや呼吸法も時々おこなうとさらに回復できそうですね。
「夏バテ」は、その言葉の軽い印象よりも意外とつらいもの。夏バテ知らずで過ごし、アクティブで楽しい思い出を作りましょう。